美容室経営において、税理士への依頼は基本的に欠かせないものです。稀に確定申告書の作成や税金の相談を税理士資格のない方に依頼している方もいるようですが、それは税理士法違反になり、明確な違法行為です。
近年はテクノロジーの進化により業務を効率化し、税理士報酬もかなり安価になってきていますので、しっかり税理士に依頼されることをおすすめします。
そこで、今回は美容室経営者が税理士を選ぶ際のポイントについて考えてみました。
経営者にとって税理士は必要不可欠なパートナーですので、何か少しでも参考にしていただけると幸いです。
税理士によるサービスは美容室経営者にとって過度なものが多い
個人的には、小規模な美容室に対して一般的に税理士が行うサービスは過度なものが多く、それにより必要以上に高額なものになっていると感じます。
例えば、自らが美容師として一線で活躍される忙しい美容室経営者にとって、税理士事務所の担当者との毎月の面談は本当に必要なのでしょうか。
美容室経営の場合、創業時の設備投資や2店舗目の出店など、数年に一度出てくるかどうかといったイベントの際には、資金繰りや融資など、税理士事務所への相談が必要なときがありますが、それ以外の平常時には正直それほど特別な論点は出てきません。
それであれば、上記のような出店時や人を採用する際などイベントが発生するときに税理士事務所に相談して必要な助言を得られれば十分ではないでしょうか。
そうして毎月の面談をなくすことで税理士報酬は下げることができます。
年に一度確定申告だけ依頼するのは良くない
それでは、年に一度確定申告のときだけ税理士に頼めば、税理士報酬が最も安くて良いかといえば、それはさすがにどんぶり勘定すぎて、自分が思い描く通りにビジネスが進んでいるのか把握できないと思います。
また、年に一度まとめて税理士に確定申告書作成を依頼すると、1年分の領収書の整理が大変だったり、支払った経費の内容が何だったか思い出すのが大変だったりと、逆に不効率になるケースが多いです。
融資の観点からいえば、2店舗目以降の出店時や、人材採用や業容拡大時の広告宣伝費など、融資が必要な際には、確定申告書の他に直近の試算表(直前の月末までの決算書のようなもの)が求められます。月次でしっかり経理をしていると金融機関の心証が良く、融資申請で有利に働きます。
したがって、やはり定期的に経理は行い、業績を把握されることをおすすめします。
会計ソフトへの入力は自分でやったほうがいいのか?
あとは、事業を行ううえで帳簿を付けること(≒会計ソフトへの入力)が必要になりますが、簿記の知識があり、これが得意だという美容師さんはほとんどいないと思います。
税理士報酬を削減しようとして、慣れない経理業務に多くの時間を要し、それにストレスを感じる美容師さんは少なくないです。
特に創業時や小規模な美容室経営の方は、帳簿作成に労力を使うよりも、売上をあげることや従業員教育に注力いただくのがよろしいと思います。
ですから帳簿作成も税理士事務所にまとめて依頼するのが良いと思いますが、リーズナブルな報酬でやってくれる事務所が良いと思います。税理士事務所の中でもテクノロジーの進化を活用して業務を大きく効率化しているところと、昔ながらのアナログ一辺倒のやり方をしている事務所とで二極化しています。
美容室の顧客が多く、常に業務効率化を意識している税理士事務所に依頼するのが良いでしょう。
どのような数値を定期的に確認すれば良いか
定期的に会計数値を把握したほうが良いと記載しましたが、ではどのあたりの数値を確認すれば良いのでしょうか。
例えば、下記のような点を考慮にいれると良いのではないでしょうか。細かいところまで時間をかけてじっくり見る必要はありませんが、経営者は最低限の会計知識は必要です。是非興味を持って自社の会計数値を見てみてください。
1. 借入返済を含めてお金が回っているのか(増えているのか)
美容室経営にあたっては銀行借入をすることが多く、会計上の利益=増えたお金にはなりません。
下記は簡易キャッシュフローとも呼び、これがプラスの状態でないと事業は存続できなくなると考えてよいでしょう。
簡易キャッシュフロー=税引前利益+減価償却費△借入金返済(元金)
2. どのような経費が出てきているのか
定期的にチェックしないと無駄な経費は少しずつ増えていきます。美容室経営者に限らず、意外とこのあたりに無頓着な経営者は多いものです。いくら頑張って売上を増やしても、無駄な経費がたくさんあれば思ったように利益は増えません。また、従業員の方に仕入や備品購入などを任せていることも多いと思いますが、経営者が何もチェックしないと、自らコスト意識を持ってくれる従業員は普通は多くありません。
3. 消費税や所得税・住民税など後で支払う税金を考慮に入れておく
これはよくありますが、定期的に帳簿を付けておらず銀行の残高だけで業績を把握しているような場合、後で思わぬ高額な税金の支払いに驚く方が多いです。
消費税は数年後から発生することが多く(年換算の売上が1,000万円を超えたらその翌々年から納税)、その発生年度には1年分の消費税の支払いが確定申告時にどかんと来ます。また、所得税は確定申告書作成時に、個人住民税は今年の分が翌年6月以降に納付と、時間差で発生するものが多いです。
稼いだ利益を後先考えずに使っているようだと、すぐに資金が回らなくなり、経営は存続できなくなってしまいます。
助成金・補助金の情報収集も
あとは、税務・会計だけでなく、助成金や補助金に関する情報発信をしてくれる税理士事務所が良いと思います。
これらは知っているか知らないかで、利益に大きな影響を与えますので、特に中小企業にとっては非常に重要なものであると思います。
返済が必要な融資と違い、丸々利益になるものですので、使える制度は積極的に活用しましょう。
税理士選びのポイントを整理すると
長くなりましたが、ポイントをまとめると「依頼する業務の内容」「頻度」「料金」の3点だと思います。
これらがバランス良く設計されているかが重要です。
基本的に税理士事務所のサービスは美容室向けには設計されておらず、必要以上のサービスにより、高額な報酬となっていることが多いです。
FUJITA税理士法人では、美容室経営に本当な必要なサービスに絞り、年末調整や法定調書・償却資産申告書など一式を含んだ明朗会計となっており、ご契約時にしっかりと料金についてご説明しますので、よくあるような後になって追加でこんなにかかるとは思わなかったなどということはありません。
初回のご相談は無料です。LINEからもお問い合わせいただけますので、お気軽にご連絡ください。